鼓膜へのチューブ挿入は治りにくい中耳炎に対して必要か?

今回は“鼓膜へのチューブ挿入は治りにくい中耳炎に対して必要か?”ということについて書いてみたいと思います。

 

長引く滲出性中耳炎ではチューブの挿入が必要で、聴力の低下や中耳炎の繰り返しを予防することができます

 

上記のことに関してはまず中耳炎の種類を理解しておくことが大事です。

通常かぜ症状の後などに耳が急に痛くなり鼓膜が赤いですねと言われるのは、ウイルスや細菌が原因で起こる急性中耳炎といわれるものです。

一方、滲出性中耳炎は急性中耳炎の後に鼓膜の奥にたまった液が抜けずにそのまま残って慢性化したものです。

医師から耳に水が溜まっているねと言われる中耳炎です。

通常痛みはありませんが、聴力の低下があります。

 

滲出性中耳炎は鼻の治療などで治る場合もありますが、治りにくい場合には積極的に鼓膜切開を行い、切開しただけだと2.3日ですぐに鼓膜は閉じてしまうので、中耳内の液を抜いた後鼓膜がしばらく閉じないようにチューブを挿入する必要があります。

特に小さいお子さんの場合は鼻や耳の構造や免疫力の影響でなかなか良くならないことも多く、その場合耳の周りの骨の発育が悪くなり、中耳炎の治りにくい耳になったり、聞こえが悪くなり言語の遅れをきたしたりすることもありますので、長引くようであれば積極的に介入したほうが良いと考えます。

滲出性中耳炎を長く放っておくと、癒着性中耳炎といって鼓膜が完全にたるんでしまい、中耳側にくっついて振動を伝えられなくなる状態になると、大人になってから手術で治そうと思っても非常に困難なことがあります。

そんな手術はかわいそうだからさせたくないという親御さんがいらっしゃいますが、行わないことのデメリットも十分検討していただきたいと思います。

 

鼓膜にチューブを入れると数か月から数年で自然に取れて鼓膜が閉鎖することも多いですが、目安としては2年間ぐらい入れておきます。

普通はチューブを抜くと数週間以内に鼓膜は自然に閉鎖しますが、閉じない場合は処置や手術で鼓膜を閉鎖することもあります。

後で鼓膜に穴が残って手術する可能性があるならやらないほうがいいじゃないかと思う方もいらっしゃると思いますが、先ほど書きました癒着性中耳炎になってしまうと手術しても治すことは難しく、鼓膜の穴をふさぐ手術の方が比較的簡単に行えることから、メリット・デメリットを考えて耳鼻咽喉科医は鼓膜チューブ挿入術をお勧めします。

 

鼓膜にチューブを入れると耳抜きの必要がなくなるので飛行機などで耳が痛くなることはなくなります。

通常処置も必要でなく、数か月に1回程度経過観察の診察になります。

なるべく耳の中に水は入れないようにした方がよいです。

お子さんでどうしても水泳をしたい方は耳栓をしてその上からスイミングキャップをするよう指導しています。

潜水や飛び込みなどは禁止し、耳だれが出るようならすぐに治療を行い、症状が落ち着くまで水泳は中止します。

 

以上“鼓膜へのチューブ挿入は治りにくい中耳炎に対して必要か?”ということについて述べました。

ご参考になれば幸いです。

 

 

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